ギアトーク 8 ~ Wista 45 VX テクニカルカメラ

ギアトーク 1~ 9 では、
使ってきたカメラやフォトテクニックなどを紹介しています。

(メインメニューの「Resources」の「ギアトーク」で、掲載後は、いつでもご覧になることができます。)

©William Ash

Wista 45VX(ビスタ45VX) テクニカルカメラは、金属製平底式カメラです。前部スタンダード(レンズボード保持枠)を使って、ライズ、シフト、スイング、ティルトのあおり、後部スタンダード(ボディ本体)を動かすことで、スウィング、ティルトのあおりが可能です。長尺レールもあり、頂点距離が最も長いものから短いものまで、幅広く使えます。蛇腹をたためば、とても頑丈でコンパクに変身します。

Wista 45VX で撮影した画像はこちらです。

このカメラのすばらしさは、画像の質のよさだけではありません。パースペクティブとフォーカスプレーン(ピントを合わせる範囲)を、かなり自由に決めることができます。

フイルム面(後部スタンダード)で、パースペクティブ、またはフイルム面とレンズ面、物面の線がどのように一点に収束するかを決めますが、もっとも基本的なのは、ビルの線を平行にすることです(下の画像を見てください)。フイルム面は、ファーカスプレーンもコントロールしてます。レンズ面(または前部スタンダード)は、どのようにフォーカスプレーンが被写体と交わるかを決めます。

物面の画像をシャープにするためには、二つの基準があります。レンズ面、フイルム面、物面が平行な場合(A)と、 1点に集まる場合(B)です。(B)はシャインプルーフの原理( Scheimpflug Rule)と呼ばれていて、主に、パースペクティブと焦点のゆがみを利用して、クリエィティブな画像をつくるために使われます。

 

フィルムの魅惑

4×5 のフイルムは、一度使いだすととりこになってしまいます。ライトボックス上のポジとネガの質の良さといったら、特に小さなフォーマットのものに比べると、官能的といっていいぐらいです。

ただ、大判のフイルムを使うと、カメラやレンズだけでなく、その他の必需品(シートフィルムホルダー、かぶり布、三脚、アームカバー、ルーペなど)も、大きくなってきます。

 

フィルム取り扱い上の問題

フイルムの取り扱いは、ちょっと面倒です。フォルダーには、たった2枚のフイルムしか入れることができません。それで、複数のフォルダーをいっしょに運ぼうとすると、重くなりかさ張ってしまいます。野外での撮影には向いていません。加えて、アームカバーをつけて、フイルム交換をするのに適した場所を見つけることも必要となってきます。
僕は、 6×6 と 6×12 のフイルムバックを装着して使うことで、この問題を少しですが、クリアしました。フイルムタイプが何であろうと、大判カメラはシステムサイズも大きいです。でも、ゆっくりとした撮影ペース、そして画像のコントロースが効くという点で、とても魅力的です。

©William Ash, Photo: Wista VX and

ギアトーク 7 ~ Horseman SW612 パノラマカメラ

ギアトーク 1~ 9 では、
使ってきたカメラやフォトテクニックなどを紹介しています。

(メインメニューの「Resources」の「ギアトーク」で、掲載後は、いつでもご覧になることができます。)

©William Ash

ホースマン SW612 (Horseman SW612)は、  6×12 の中判パノラマカメラです。中判サイズにしては、驚くほど小型で、取扱も簡単。 6×6 のマミヤ6レンジファインダーカメラと併せて、補足的に使っていたので、旅に出るときは、マミヤ 6 とホースマンがいつもいっしょでした。

ホースマン SW612 で撮った写真はこちらです: Horseman SW612

このカメラの操作は、完全にマニュアルで、とてもベーシックです。

  1. ピンとを合わせる
  2. 絞りの設定
  3. シャッタースピードの設定
  4. シャッターチャージをする
  5. 撮りたい画像をフレーム内におさめる
  6. シャッターを押す
  7. 解除リバーをクリックする
  8. 巻き上げレバーを巻き上げる

 

ピント合わせ

ゾーンフォーカスで、距離設定をヘリコイド上のピントリングの被写界深度目盛を操作して決めます。これはとても単純な操作で、レンズが 55 mm Grandagon のような単焦点レンズの場合です。

90 mm と 135 mm の場合、ピントグラス(グランドグラス)、またはアクセサリーのレンジファインダーを使いました。

ピントグラスが最も正確ですが、ピント合わせに時間がかかります。
まず、ダークスライドをフイルムバックに挿入して取り外し、ピントグラスと入れ替え、ピントを合わせます。そして、ピントグラスをはずして、フイルムバックを再装着します。この後に、フイルムバックのダークスライドを、取り除くことを覚えておくことが肝心です。忘れがちなので、僕はダークスライドの色をちょっとかえて、挿入されていることを忘れないようにしました。

アクセサリーのレンジファインダーは、中間から長距離用に向いています。が、焦点距離が最小限になるにつれて、ちょっと技術が必要になってきます。レンジファインダーについては、ギアトークの Part 9 をぜひご覧ください。

©William Ash, Photo: Horseman SW612, 55mm Grandagon, and Konica Infrared Film

 

絞りの設定

SW612 のレンズは大判レンズなので、多少、限界があります。開放絞りは、ピントグラスをつかってピントを合わせるためであり、撮影に使う絞りは f/11 以下になります。開放絞りで撮影してしまうと、画像の周辺がソフトになるけられが起きます。55 mm のような単焦点レンズの場合は、センターフィルターが、コサイン4乗則による周辺光量の不足を減らして、画像の質をあげてくれますが、2回ほど露光が止まります。このカメラを手に持って使うためには、光量が少ない場合、限界があったり妥協しなくてはいけません。僕は、主に ISO 400 のフイルムを使いました。

 

ビューファインダー

明るくクリアです。ファインダーマスクを、焦点距離によって使い分けます。フォーマットは、6×12, 6×9, and 6×7 の3種類。僕は、 6×12 しか使わなかったので、6×9、 6×7 の部分をやすりで削って取り除き、見やすいようにしました。ゆがみのために、マスクの端は曲がりましたが、幸いにも、ボディーに内蔵されている水準器をビューファインダーで見ることができるので、水平にカメラを保つことができます。ただ、縦の画像をとりたいとき、特に手でかかえて縦の画像をとるときは、ちょっとやっかいでした。また、レンズキャップの端に黄色のテープをはって、ビューファインダーをのぞいたときに見えるようにして、キャップの取り外しを忘れないようにしました。

 

使いやすさ

©William Ash, Photo: Horseman SW612 and 55mm Grandagon

テクニカル上の限界と弱点はあるものの、使っていて楽しいカメラでした。6×12 つまり 2:1 のアスペクト比は、横でも縦でも、さまざまな撮影に使えました。ひとつのフイルムからたった6枚の写真しか取れとれませんが、ともかく使いやすい。僕の ebook 写真集 Futon Daiko: A Japanese Festival  のほとんどの写真は、このカメラで撮影されたものです。

ギアトーク 6 ~ Mamiya 6 (マミヤ6)

ギアトーク 1~ 9 では、
使ってきたカメラやフォトテクニックなどを紹介しています。

(メインメニューの「Resources」の「ギアトーク」で、掲載後は、いつでもご覧になることができます。)

©William Ash

Mamiya 6(マミア 6) は、6x6の中判のレンジファインダーカメラ。レンズマウントがボディの中に収まるので、とてもコンパクトなカメラです。このシリーズは、Mamiya 6 と Mamiya 6 MF の2種で、Mamiya 6 MFの方 は、パノラマフォーマットの写真を35 mmのフィルムで撮ることができます。レンズは、50mm f/4.0、 75mm f/3.5、150mm f/4.5 の3種類。 リーフシャッター方式により、シャッターを切るときにぶれも起こらず静かなので、人目を惹かないし、ローライトでも三脚なしで撮影ができます。

マミヤ6(Mamiya 6)で撮った画像は、こちらです。

15年間にわたって愛用し、いろいろなプロジェクトに使いました。正方形のフォーマットと、自然な使いやすさを考えたレンジファインダーのデザインが大好きでした。サイズもちょうどよく、どこへでも持ち運びできました。チベット、日本アルプス、カナダのニューファンドランド島のグロスモーン国立公園、アメリカ南西部、四国88か所遍路道にも持っていきました。写真集「築地ー東京魚市場組曲」のほとんど Mamiya 6(マミア 6)で撮ったもので、それ以外の数枚は、Mamiya C220 を使用しました。マミヤ6 (Mamiya 6) は、長い間、本当にすばらしいコンパニオンでした。デジカメに移った今でも、大事に持っています。

©William Ash