Part 9 ~ アクセサリーのレンジファインダー

 

©William Ash

オートフォーカスが可能になる前は、被写体距離を決めるのに、レンジファインダーというアクセサリーを使うことが当たり前でした。現在は、Leica M シリーズのようにほとんどのレンジファインダーが、カメラのビューファインダーに組み込まれていて、連動距離計と呼ばれています。

でも、20世紀は、写真家は自分で被写体距離を目測して、ピントをマニュアルで合わせた時代だったので、レンジファインダーは距離を正確に設定するのにとても役に立ちました。

僕は、 ホースマン SW612 パノラマカメラ(Horseman SW612 panoramic camera)用のレンジファインダーを買うとき、いろいろと調べてみました。ここでは、僕が買って試した8個のレンジファインダーについてお話をしたいと思います。もちろん、この8個以外にもレンジファインダーはあり、特にLeica 製のものはよく知られています。

 

レンジファインダーの使い方

レンジファインダーは、カメラに取り付けるか、手に持って使うことができます。 上のホースマンの画像を見てください。デザインとしては、水平にカメラの上に取り付けるものと、縦にカメラの横に取り付けるという二つが、基本的です。

使い方はとてもシンプルで、ファインダーをのぞいて、左右にずれた二つのイメージがぴったりと重なり合うまで距離メモリを回します。その重なったときのメモリが、焦点距離です。

距離メモリは規格化されていて、ほとんどが feet を採用しています。が、稀に m を使ったものもあります。最低限の被写体距離は、3 feet または1 mです。

レンジファインダーの正確さは、二つの窓の距離(各窓の中央間の距離)によって決まります。この距離が長いほど、正確です。ほとんどのレンジファインダーが、開放絞り値が F2.8 より大きいノーマル、またはワイドアングルレンズ用にデザインされています。焦点距離が長いレンズと、開放絞りのF値が小さいほど、不正確になります。一般的には、被写体距離が1.5 m 以上で最大焦点距離が 135 mmのレンズ用に使います。被写体距離が短いほど、焦点距離が減少するので正確になります。

 

購入時の注意点

画像を投影するレンジファインダー内部のミラーのアライメント(位置合わせ、整列)が正確かどうかです。

水平方向のアライメントが不正確の場合は、フイルムを現像したあとでないとわかりません。ただ、レンジファインダーによっては、自分で中のミラーアライメントを調節することで、この問題は解決することもできます。

垂直方向のアライメントに問題がある場合、ファインダーをのぞくとフォーカスしている物のイメージが、左右ではなくて、上下に見えるはずです。この二つを合わせることができれば、ミラーアライメントが不正確でも、撮影上は問題ありません。しかし、問題は、斜めの物(木の枝とか)にフォーカスをしたときです。上下に見える場合、たとえ二つのイメージを合わせることができても、距離が正確ではありません。

下の画像を見てください。Watameter (下のレンジファインダー) のようなレンジファインダーは、自分で縦のアライメントを直すことができます。また、Amsco DeJur (上のレンジファインダー)のようなものは、専門業者でしか直すことができません。ただ、ほとんどのレンジファインダーは、容易に分解できるので、自分で修理する自信があれば、とりあえずやってみるという手もあります。

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ここからは、僕が使用したレンジファインダーの紹介です。

Watameter

ドイツ製で、3つのモデルがあります。画像のものは、Watameter I で、無限から22インチまでの距離メモリが外部についています。Watemeter II は、I と外観と仕様が同じですが、距離メモリをファインダー内で見るようになっています。Watameter Superに は、無限から22インチまでの内部メモリ、20から12インチまでの外部メモリの二つのメモリがついています。Watameter のレンジファインダーは、縦方向のアライメントと距離メモリの調整は、自分でできます。(上下の画像の下部のレンジファインダー)

 

Amsco DeJur 

正確で、ボディーはステンレス製です。カメラのホットシューに、縦に取り付けることができ、また小さいので手に持っても使えます。最小の焦点距離は、2.6フィート。Leica のレンジファインダーをまねたデザインながら、ずっと安価です。自分では修理ができませんが、僕が持っているものは正確で、修理を必要としたことはありません(上下の画像の上部にあるファインダー)

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Bodan

ドイツ製の、ものすごく小さいレンジファインダーです(下の画像)。このモデルは、別な名前でも売られていました。距離メモリは feet か m で、最小距離 3 feet、または 1 m。使用は、ノーマルまたはワイドアングルレンズに限られます。距離メモリの調整は自分でもできますが。垂直方向のアライメントはできません。僕が購入したものは、垂直方向のアライメントに問題がありました。たまたま僕のものだけに問題があったのか、それともこのモデルに共通に見られる問題なのかはわかりません。

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Ideal

予算のない人用のレンジファインダーです。外装はプラスチック。2つのミラーが、シンプルなチャンネルロッド上にネジで取り付けられているだけ。ウインドウが開いているので、ほこりも中に入ります。カメラに取り付けられないので、いつも手にもって使います。でも、長いレンジファインダーなので、かなり正確です。距離メモリは、feet。最小焦点距離は 2.5 feetで、メモリの調整もできます。僕の購入したものは、垂直方向のアライメントに問題がありませんでしたが、あったとしても、調整するメカニズムすら存在していません。安価で心配なしのレンジファインダー、これこそまさに、Ideal  (理想)ですね。(下の画像)

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Medis

ドイツ製の高品質なレンジファインダーで、ボディーは Watameter に似ています。距離メモリは調整可。最小焦点距離は3 feetです。

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Kodak Service

上品なデザインです。距離メモリは二つあり、前面にひとつとファインダー内部で読めるものが一つです。二つのイメージを重ねる方法ではなくて、SLRのように分裂したイメージを合わせます。最小焦点距離は2 feet。カメラのホットシューに縦に取り付けることも可能です。自分では、調整ができません。このモデルによく見られる問題かどうかはわかりませんが、僕が買ったものは、光学系の部分が黒く黄色になっていて、使うことができませんでした。

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Walz

ご覧の通り、外観の色が目を引きます(下の画像)。また、回転できるデザインになっています。カメラのホットシューに、シューをとりつけますが、シャッタースピードダイアルにアクサスできるように、横にスイングさせることができます。また、レンジファインダーの取り外しも楽です。もちろん、シューの在庫はないと思うので、購入するときには、シューがレンジファインダーといっしょについているものを購入することが大事です。他には、アラインメントのネジの銀色のカバーキャップがないものとかをネットで見たことがあります。距離メモリは feet で、最小焦点距離は3 feetト。自分では調整ができません。

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Accurange

安価ですが、距離メモリがボディーの端についているという、おもしろいデザインをしています。この距離メモリは、自分で調整できます。僕が買ったものは、ひどい状態でした。安い作りなのでこうなってしまのが当たり前なのか? わかりません。

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今も持っているレンジファインダーは、WatameterAmsco DeJur だけです。他のものは、売りました。理由は様々です。でも、MedisWalzLeica もお勧めします。Ideal は作りは貧弱でも、値段も安くていいファインダーです。 Kodak Service も、ファインダー内がきれいならば、優秀なレンジファインダーだと思います。Bodan のような小さなものは、かわいらしく、ノーマルまたはワイドアングルレンズには使えます。ですが、Watameter は、それほど大きさも変わらない上に、自分で調整が可能な優れものです。