EARTH WATER FIRE WIND EMPTINESS ~ 地水火風空

earth_water_fire_wind_emptiness__book_coverこの写真集は、William Ashが10年ほど住んだ東京への敬意をこめて織りあげた80枚のカラー写真からなる、美しく静かな東京の物語です。2014年に再びもどって、複雑なメトロポリス Tokyo の自然でごく親しみのある姿を捉えました。

撮影は、世界でもっとも人工的な地形をもつ都市のひとつである東京の「自然のランドスケープとは何か?」という疑問から始まり、

やがて「地、水、火、風、空」という五大のインスピレーションを受けて、

大都市として浮ぶ景観を、「時空のなかで何十にも重なり合った五大の層」として明らかにしていくことになりました。

 

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earth_water_fire_wind_emptiness_44_45合計96ページ: 22 cm x 28 cm、非塗工印刷用紙

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Earth Water Fire Wind Emptiness

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ーーIntroduction (はじめに) のページより抜粋ーー

八世紀に編集された古事記には、日本創世の神話が初めて記録されている。それによれば、イザナギノミコト(伊邪那岐命)とイザナミノミコト(伊邪那美命)の男女の二神が聖なる矛を授かり、海面を油のように漂っている国をまとめるようにと高天原から送られた。二人が矛の先を海水につけて引き上げると、矛の先から滴が落ちて小さな島となった。ふたりはこの作業をくりかえして最初の島を、さらには川や山を生んだ。こうして日本は生まれたのだった。

「地、水、火、風、空」は、日本の仏教では自然の5つのエレメントとされ、「五大」として知られている。私たちの物質的現実はこの「五大」から成り、「地」は陸や山、骨や筋肉、「水」は川や海、植物に生命を与える水、「火」は日光や熱、動物の生き生きとしたエネルギー、「風」は空気や息、「空」は世界を含む空間などの姿となって表れている。また、五大は心のエレメントでもあるとされ、「地、水、火、風、空」は「不変、流動性、情熱、成長、意識」といった性質となって表れる。私たちの世界は、この物質と心という二極、対象とそれを見る者という二極のからまりから成り、物質的世界と自分が認知した世界の差異を解き明かすことはできない。

2014年、かつて10年間住んだ東京を再び訪れた。素朴な疑問があった。東京の自然のランドスケープとは何か? 世界で最も人工的なランドスケープをもつ都市のひとつである東京に、「自然の」という言葉を使うことができるだろうか。15世紀に江戸城が造られてから今日まで、この都市を造ってきたのは人間だ。東京湾の島々やほとんどの沿岸の土地は埋立地。幅500mの一級河川荒川の放水路でさえ、1911年から1930年にかけて造られたもので、今もイザナミノミコト(伊邪那美命)とイザナギノミコト(伊邪那岐命)の矛は、日本人の手によって巧みに使われ続けている。

「自然」という言葉は、文字そのままの意味をとってみると、「自ずとなるさま」となる。東京にも地質や気候というものがあり、無視することはできない。その歴史には、火災、地震、洪水といった自然災害が刻まれてきた。もちろん野生の動植物の生態系も、河川や陸地、建造物とともに存在している。相互依存という認識のもとで、新たに造られたり、住民によって保護された場所もある。都市も、森のように破壊と創造の繰り返しの中を進化する生態系であり、その結果として生まれる構造に、東京の自然のエレメントも表れている。そして、ランドスケープという「各自がその場で体験する世界」が、ひとりひとりの心が認知したものによって築かれる。

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左右の埋立地の間を埋めて造られた東京湾の新埋立地。画像をクリックしてご覧ください。

 

(レビュー例)

Japan Camera Hunterより レビューの要約の日本語訳

「この写真集が面白いと思ったのは、東京という都市の表現方法だ。私は日本に住んで10年以上にもなるのだが、この写真集は、私が見てきたもの、そしてそれらが個人的な空間として、人の感情にいかに影響を与えているかをパーフェクトにまとめあげている。日本はユニークな国だが、外国人にとってユニークな点は、多くの日本人が思っているものとはちがう場合がよくある。これらの写真は、密集した東京の煩雑な、そして本当にそうなのだが、不思議なことに空っぽな空間を描き出している。小さな面積にたくさんの人が住んでいるので、東京と言えば、みんな渋谷のようなところを想像する。でも、東京はそうじゃない。東京は実は巨大で、山もあり、熱帯の島だってあるのだ。だからこそ、この写真集が、私にはとても美しく思えてならない。写真を通して、いつも見ているのに見逃してきたものを共有できる。William Ashは、この本を完璧に編集してある。また、それぞれの場所についてのすばらしい説明もあり、日本語にも訳されている。(Bellamy HunterさんのサイトJapan Camera Hunter より) 」英文の原文はこちらをクリック → Japan Camera Hunter

 

(受賞および写真展)

「Photobook 2015」のひとつに選出; Davis Orton Gallery と Griffin Museum of Photography 共催の自費出版写真集コンテストおよびフォトブック展

 

(コレクション等)

Tokyo Metropolitan Museum of Photography
The National Diet Library, Tokyo, Japan
The Photobook Club
The Asia-Pacific Photobook Archive
Josef Chladek on Photobooks and Books