上高地、梓川の渓谷

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標高約1500mの上高地から、標高約1620mの横尾までの道は、梓川にそって渓谷をあるく。徒歩で約3時間かかるが、美しくゆるやかな山道だ。混雑していないのが、またいい。

さまざまな植物が道の両脇にみられ、写真のオオウバユリなどは高さが180センチをこえ、花も大きく、つい立ち止まって見入ってしまった。 この谷は、夏には牛の放牧地になっていたので、1927年にふたつのことが起きなければ、この自然はとうの昔に消えていたかもしれない。

そのできごととは、芥川龍之介の「河童」が発表され、その舞台が上高地であったことと、秩父宮殿下が上高地を訪れたことだ。このふたつのことが、上高地を牛の放牧地から、人気の観光地へと豹変させた。そして……、10年後に地域一帯は、中部山岳国立公園として永久に守れることになった。

 

上高地と日本アルプス

 

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30代前半の頃、夏になると二人して日本アルプスに登った。写真は、K1に立って撮影したもので、左から2番目の枠にあるのが霞沢岳(2646m)とK2。上高地からK2へのトレイルは、アップダウンが多くまた薮などもあり、とてもきつかったのを覚えている。

日本で3番目に高い山、奥穂高(3190m)が、右から2番目の枠のなかに見える。また、一番右の枠には槍ヶ岳(3180m)があり、そこから少し左にもっとも危険なトレイルのひとつであるで大キレットがくぼんで見える。活火山である焼岳(2455m)は、左から3番目の枠にある。

上高地から奥穂高へは、よく登った。このトレイルは今でこそ多くの人たちで混雑するが、上高地への登山を広めたのは、英国人宣教師のウォルター・ウエストンだった。19世紀おわりのことだった。

それまでは、山は日本人によっては信仰の対象であり、修行の場だったので、日本の山には頂に神社があったり、祠がおかれている。森をぬけ、けわしい坂をのぼり、自然の気配をからだ全身でうけながら登りづけて、青雲ただよう山頂にたつとき、そこに祠をおいた気持ちが、わかるような気がする。(写真をクリックして拡大してご覧ください。)

 

 

日本の思い出 ~ お花見

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この時期、日本のブログをみると桜三昧で、日本中が桜の花で埋まっているかのようだ。メイン州では、やっと雪が消えたばかり。桜の樹も一度しかみたことがない。写真は、大阪の公園で10年以上も前に撮影したもので、お花見の人で木々の下はいっぱいだった。メインの家の窓ガラスから見た外の景色が、こんな感じであったなら‥‥。桜を愛でる人の心よ、桜は散っても、いつまでも幸え給え。

 

「日本の思い出~桜の花より生まれし人々へ」

桜の花のした
家族連れが 学生が 子供が 恋人たちが
歩いてはとまり 歩いてはとまり
まるで 稚児のようだ

ホームレスの人たちが
段ボールの家からでてきて 頭をつきあわせ
みんなで将棋をしている

鳥の声が 犬の吠える声が
カラオケの音が 手拍子の音がする

赤ん坊に 花を指さす母親がいて
その下で昼寝をしているおじさんがいる

コンビニの弁当を片手に 中学生たちがあつまって
地べたで笑い転げ
老人ホームの団体が 車いすを馬のようにのりこなし
バーベキューをしている

なんという所だろう
この人たちは どこからきたのだろう?

春は
得体のしれない空間を浮かばせる
それは 桜の花にはじまり おわる

鳥が 惜しげもなくついばむ花びらが
砂時計の砂のように
ひざを並べ 鮮やかな弁当に
箸をのばす人々に 落ちていく

あー 日本人よ こうして
つかの間の生を祝いながら
ともにのぼっていこう

DNAの螺旋を スルスルとのぼりつめ
桜の花のもとに集まろう
小さな座布団をも分ちあうことを知っている人々には
すわっても なおすわりきれない玉座が そこにある

さあ 日本人よ のぼっていこう
この世のものも あの世のものも
夜桜の下で 星をながめよう
愛でる心にすべてをゆずり、お腹一杯になった人々には
かなたの輝きも またなんて 親しいものに見えるだろう

(©Naomi Otsubo 2014)

 

(注)この詩のオリジナル版の英訳が「Translation:Bates International Poetry Festival 2011」に納められています。詳しくは、こちらをクリックしてください。

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嵐の終焉~日本アルプス・白馬

japanese_alps_breaking_storm日本アルプスの上空を覆っていた雲が、切れ始めた。標高3000メートルの白馬のあたりで撮影したもので、山脈の向こうの雲の下は日本海だ。クリックして拡大してみてほしい。

(追記)
この記事は、にほんブログ村の「空と雲トーナメント」で優勝いたしました。応援してくださった方々に心からお礼申し上げます。

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