ひと時代の終焉 1

10月6日、築地市場は最後の日を迎える。見学ツアーも、昨日で終了した。豊洲で10月11日に再オープンするというが、この二つの市場が、心の中でまだつながらない。

私は、ラッキーだったのだろう。ピークを迎えていた1990年代の築地市場に、真夜中に入って撮影できた。あの頃は、だれでも市場内に入って、自由に見学できた。そのおかげで、築地市場の小写真集「Tsukiji: Tokyo Fish Market Suite ~ 築地: 東京魚市場組曲」を作ることができた。

夜中にマグロがトラックから引きずり降ろされ、コンクリートの床に激しく当たる音。流れる冷気、競り市の声……。

豊洲市場の雰囲気は、築地とはまたちがったものになるにちがいない。

築地よ、ありがとう。

空き部屋

まあ
なんて からっぽ

みごとに からっぽ
ずっと からっぽ

でも
それでいいの 私のこころよ

それが なにより
ほんとに なにより

今しばらくは
そこでおとなしく しておいで

(1988)

恋愛詩集「乙姫から浦島太郎に告ぐ」第1章出会い前より

この詩の英訳はこちらの英語サイトにて

勇気の孤独

自分から 人に
話しかけることができた日は

どんな人も  美しく思える
大気が きらめいて見える

どうしたものか 自分よ
何もそこまで 孤独になるな

(1987)

恋愛詩集「乙姫から浦島太郎に告ぐ」第1章出会い前より

この詩の英訳は、こちらの英語版サイトへどうぞ

 

お星様へ

天空にまします数々のお星さま

丸ければ
宇宙で うまくまわっていられますか?

それとも
まわっているうちに
あの手この手で 宇宙が
丸くしにかかってくるんですか

それとも
何でもかんでも
遠くにおいてしまえば
丸く見えてくるもんですか?

つまり
距離をおくってことですね

(1985)

恋愛詩集「乙姫から浦島太郎に告ぐ」第1章出会い前より

この詩の英訳は、こちらの英語版サイトへどうぞ

台場公園(第3台場)

写真の下半分にある日本庭園のように見えるのは、第3台場とも呼ばれる台場公園。今ではのどかなこの場所も、元は、江戸幕府に開国をせまったアメリカ海軍司令官ペリーとの闘いに備えて1853年に作られた砲台だった。

その向こうに見えるのは、もちろん人工島のお台場。高層ビルの間からは、海上にかけられた東京ゲートブリッジが見える。

台場公園は、今でこそ、お台場海浜公園の入り江にそって歩いていけるが、1853年当時は、浜から数キロも離れていたらしい。公園はデートスポットとして有名だが、それだけじゃない。東西南北、どの方向を見ても、この165年の間に東京湾がどれほど埋めたてられてきたかを実感できる場所でもある……。

写真集 「 Earth, Water, Fire, Wind, Emptiness: Tokyo Landscape」より。

Kasai Rinkan Park ~ 葛西臨海公園

葛西臨海公園は、開発によって破壊された自生地を保存するために東京湾に造られた人工の島にある。橋は、東京、千葉、デズニーランド、成田空港をつなぐ高速道路の一部。また、スピーカーは、津波警報を知らせるためのもの。写真は、写真集 「 Earth, Water, Fire, Wind, Emptiness: Tokyo Landscape」より。 Click on the image for a larger view.

Tokyo Gate Bridge ~ 東京ゲートブリッジ

東京ゲートブリッジ(Tokyo Gate Bridge)は、全長2618m。そのうち、海上をまたいでいる部分の長さは、1618mで、レインボーブリッジの2倍もある。もっとも陸から離れた東京湾上に建設された高速道路で、水平線上の小島は、ゴミの埋め立てによってできた中央防波堤(Chuo Bohatei)だ。橋にもいろいろあるけれど、橋に水と空がかかわるとき、数学の美しさを感じる。

写真集「 Earth, Water, Fire, Wind, Emptiness: Tokyo Landscape