マジック・オブ・ライト

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©Willaim Ash

人間がどのように光を経験するかといえば、簡単なことで、「光を対象に当てて、見えたものを見る」ということになる。光を当てる場所を変えても、影になる場所が変わるだけで、見ているものの固有の姿は変わらないと思う。

でも顕微鏡を使うと、ちょっとちがう。顕微鏡のすばらしいところは、微小なものまで見えて、よく制御された光の照明によって、光の複雑な性質を見せてくれることだ。

ここにトルマリンクリスタル(tourmaline crystal)を顕微鏡でみた画像を載せてみた。三種類の光に当てることによって、トルマリンクリスタルがちがって見える。

まず上の画像は、明視野照明法といわれるテクニックで撮った。一般に顕微鏡でよく撮られる拡大画像だ。これだとサンプルに当たっている光が、サンプルそのものによっては変化しなければ、光の白色の領域まで見える。でもサンプルによって光が散乱したり、吸収されたり、位相がシフトしたりして、光が変わってしまい密度が荒くなり、結局、見えるイメージも変わってしまう。

では、光を横から当てたら、このトルマリンクリスタルはどのように見えるだろうか‥

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©William Ash

これは、暗視野照明法といわれ、横から照射するテクニックを使った画像。このテクニックを使うと、サンプルによって光が変質されない部分は、暗い部分を作る。

このクリスタルは、望遠鏡で見なければ、炭のようにただ黒い。それなのに、上のふたつの望遠鏡による画像だと黒く見えない。顕微鏡とちがって、人間の通常のビジョンだと、光がしっかりと制御されていないので、こうした光の特性を見ることはない。

最後は偏光を使った画像。光にはま偏光とよばれる特性があり、音波のように振動するだけでなく、波形が上下、左右に動いて、分布が一様でない。直接偏光は、光が特定の方向に振動する。第二の偏光を、第一の偏光に対して90度傾けると、第二の偏光が最初の偏光をブロックしてしまうが、サンプルは偏光の影響をうけることになる。

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©William Ash

この画像は同じ水晶のもので、二つの偏光の間に置かれたもの。クリスタルとクリスタルの損傷部分(玉虫色の部分)によって偏光が変わり、第二の偏光を光が通過してこういう画像となった。画像の密度が高くなっただけでなく、色まで変わった。

上の画像のちがいは、ただ光を変えたことによって生まれたにすぎない。Photoshopなど、使っていない。光は、本当に驚くべきもので、奥深い。

見えるものと見えないもの

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©William Ash

視覚が世界を作る。でも、人間が「目の前の空間にあるものを見ている」と思っている最中に実際におきていることは、「目の網膜に写ったイメージをプロセス中」ということにすぎない。見ている世界とその表層の現実は、心とバイオロジーによる幻想なのだ。

目によって、世界もちがってくる。よく知られているのは、昆虫の「複眼」。ほ乳類の目とちがい、映写された画像を使わないだけでなく、たくさんの目をもつ。クモなど、8個もの目をもっている。

画像の虫は、顏の前面の大きな目のほかに、頭の後ろに透明のドーム型の目を三つもっているように見える。拾った虫だが、なんの虫か知っている人がいたら教えてほしい。なんとなく仮面ライダーを思い出す。

こんなすごい面をした虫たちが、まわりをブンブン飛んでいるこの世というもの。ドローン顔負けの情報を虫は収拾しているかも……なんて考えてしまうし、人間の視覚では拾えない生命体がいて当たり前に思える。それが雲に見えたり、風をおこしたりしているのかも。

冬の光

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©William Ash

夕刻に森の端まで行って沈んでいく太陽の光をみれば、冬のピークがもう過ぎたことがわかる。冬の間、メイン州では仕事に出かけるときも、家にもどるときも、すでに日は沈んで暗いのが当たり前。でも三月になると、空がちがう。日照時間が長くなってきたのがはっきりとわかる。陸の前に、まず空が最初に光に満たされていくのを感じる三月だ。

悪魔の足の爪

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©William Ash

この足の爪は、イギリスの東アングリアの野原で見つけた。「悪魔の足の爪」と呼ばれて、ポケットに入れて持ち歩けば、リューマチによる痛みがやわらぐと思われていた。写真のものは長さ7.5センチあり、お守りとしてはかなり大きいものになる。

ホントのところ、悪魔のものでもなければ、その手の生きものの足の爪ではない。2億5000万年から6500万年の間に、浅い水辺で生きていたとされるカキの仲間、Gryphaeaの殻 。こんな名前をつけて、それをお守りにする英国人。言葉の裏の裏をいくようで、さすが。

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ウニの美 ~ 美しいものにはトゲがある。

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©William Ash

アーカディア国立公園の海辺で拾った遺骸。貝かと思えば、ウニのものだった。あの外側のトゲの下が、こんなになっているとは。まるで美しいレース編み。ウニは英語で sea urchin だが、中世の時代にハリネズミが urchin と呼ばれ、そこからウニも「海のハリネズミ」という名前をつけられたらしい。でも、外見で判断せずに、内側の美を見て名前をつけてあげてほしかった……。

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魚いっぱい?

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©William Ash

漁獲量を減らしても、タラが消えつづける?

最近、ニューヨークタイムズに、メイン州のタラ漁についてのショッキングな記事がのっていた。タラは、何十年もの乱獲のあとに、やっと2010年になって漁獲量が制限された。当初のプランでは、これによりタラの生息量がもどってくる予定だった。

ところが、減る一方。

おかしいと思って調査してみれば、予想外のことが海で起きていた。メイン湾が、世界の海域のなかでも、地球温暖化によって著しく水温が上がっている海域のひとつであることが判明したのだった。そのため、タラは生息数は回復どろこか、生殖率は落ち、死亡率は上がり……。

海洋研究者たちは、「漁獲量制限によってタラの回復を予想していた当初のプランは、水温上昇という要因を考えに入れず、あたかもタラの生息数がすぐにもどるような非現実的な期待を生んだ。」と酷評している。

もうタラだけでなく、地球環境全体を守らなければ、タラの数はメイン湾から減っていくばかり。困るのは人間も同じで、地域の経済成長は破壊され、仕事はなくなる。それを知りながら、どうも今の対策は、うまくいっていない。

秋 2015年

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©William Ash

メイン州では、紅葉のピークを迎えている。写真の葉は、庭の同じ1本のカエデの木(下)から、同じ日にとってきた。色とりどりとは、このこと。こんな色が、風にいっしょに揺れる秋。

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©William Ash


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