氷の嵐 きたる ~ Ice Storm, Part 1

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by William Ash

12月22日、目覚めると、氷の世界になっていた。アイスストーム(ice storm)を初めて経験したのは、6、7年ほどぐらい前だった。氷雨がふってそのまま触れたものに凍りつき、辺り一面が氷の世界になるということを目の当たりにしても、まだそんなことが起こりえるということが信じられなかった。そして、その美しさにも。アイスストームは停電も引き起こすので、来てほしくないと思いながらも、心のどこかで、またあの稀な美を見たいと思っていた自分がいた。

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by William Ash

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消えゆく炎 その1

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冬の晴れた日の日没
地平線の下にたった今沈んでいった太陽の光を
木々の先がかすかに捉えて立っている
自分の心の中でも
こうした瞬間がいくたびかあったように思え
夕飯の支度に忙しい手を止めて
窓辺で木々をみつめる

霧峰に向いて

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Fog bank and Pemaquid Point by William Ash (写真をクリックして、拡大してご覧ください)

ペマキットポイント(Pemaquid Point)まで出かけた。この上なく美しいニューイングランドの秋の日、空に雲はなく、水平線もくっきりと見えているかのようだった。

ところが、目を凝らしてみれば、水平線と見えていたものは、メイン州ではよくみられる霧峰(fog bank)とよばれる濃い霧の層だった。霧峰は、思いのほか速いスピードで、岩場に座っていた私たちに迫ってきた。

海と空という大きく確かだった空間は、あっという間に霧のなかにきえ、太陽は真昼の白い満月に変わり、その白光にきらめく霧のなかで私たちはじっとして、霧がからだの中をも抜けていくような感覚に酔いしれていた。やがて、波音にまじって、人の声がした。「30年もここに通いつづけているけれど、こんな美しい霧峰は、はじめてだわ。」