むつ—メイン州のりんごの季節

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by William Ash

メイン州でみつけた日本原産のりんごは、むつ(Mutsu)とフジ(Fuji)。けれど、耐寒性区分Zone5のメイン州ではふじは育たない。結局、果樹園で買える新鮮な日本原産のりんごは、このむつだけ。大きくてサクサクしながらも、細やかな食感。味は甘いながらも酸味がある。どこの国で食べようとも、やっぱりおいしい。冬の間、買い続けるりんごのひとつである。

ウインターバナナ〜メイン州のりんごの季節

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by William Ash

ウインターバナナ(Winter Banana)は、好きなリンゴのひとつだ。大きく、皮はツルツルしている。際立つ黄色をしていて、ところどころ染まったような赤みをもつので、最初は目をみはる。サクサクして歯ごたえがあり、ちょっと酸味があり、わずかながらもバナナの味がする。アップルパイをこのリンゴでよくつくるが、煮崩れして、焼くとアップルソースのようになる。生でかじるのが、いちばんおいしい!

ゴールデン・ラセット—メイン州のりんごの季節

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メイン州にはたくさんの果樹園があり、スーパーでは買えない珍しい種類のりんごが売られている。数年前、私はずっと探していた「ゴールデン・ラセット」をついに見つけた。こうした固定種(heirloom)のりんごは、アメリカでもめったに出会えない幻のりんごだ。

最初にこのりんごの名を聞いたのは、イギリスに長年住んだ夫の家族からで、「味は説明できないけど、おいしい」というものだった。実際、自分も食べてみて感じたことは「こんなりんごは食べたことがない」ということだった。小ぶりで、梨のような外見からはちょっと想像ができない。派手な味ではないのに、しっとりと甘い。あえていえば、高級感のある味なのに、大地の味がするというのか? それに、この食感は何なのだろう?

保存がきき、デザートアップルとして食するだけでなく、アップルサイダーにも使えるゴールデン・ラセット。待ちかねる晩秋の味覚のひとつである。

たんぽぽ駅

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今年の秋は、おだやかだ。例年なら初霜が、9月の終わりか10月のはじめにおりるのだが、まだそれがない。空からふってくる落ち葉の下で、わずかだがたんぽぽが春先のように咲いて、蜂が、我先にとやってくる。

このマルハナバチが、たんぽぽの上に陣取って二日がたった。花が閉じると、閉じた花の側面にひっついてじっとしていて、翌日に太陽が照って花が開くと、まとこうして花の上にのっている。

蜂はきっとこのたんぽぽを、駅に選んだのだ。もうすぐ虹のかけ橋が、この花におりてきて、花粉をおしりにたくさんつけたまま、蜂はそれをわたっていくのだろう。

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メイン州の初秋

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初秋は、好きな季節だ。りんごの収穫がはじまり、それでいて、庭にはまだトマトがなっている。しかし、なんといっても美しいのは森。深い琥珀色と赤色にそまる晩秋の森もいいが、鮮烈なイエローとゴールドカラーが、まだ緑色のままの木々の間で生き生きと生える初秋の森の姿は、命そのものにあふれている。

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*写真について
ドキュメンタリーの写真を撮ることをしてきたので、このブログにのせる写真も、カメラのフルスクリーンに映ったものそのままを載せています。画像のコントラストに手を加えるぐらいのほかは、クリッピング、加工や修正等は一切していません。

Futon Daiko - William Ash

 

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霧峰に向いて

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Fog bank and Pemaquid Point by William Ash (写真をクリックして、拡大してご覧ください)

ペマキットポイント(Pemaquid Point)まで出かけた。この上なく美しいニューイングランドの秋の日、空に雲はなく、水平線もくっきりと見えているかのようだった。

ところが、目を凝らしてみれば、水平線と見えていたものは、メイン州ではよくみられる霧峰(fog bank)とよばれる濃い霧の層だった。霧峰は、思いのほか速いスピードで、岩場に座っていた私たちに迫ってきた。

海と空という大きく確かだった空間は、あっという間に霧のなかにきえ、太陽は真昼の白い満月に変わり、その白光にきらめく霧のなかで私たちはじっとして、霧がからだの中をも抜けていくような感覚に酔いしれていた。やがて、波音にまじって、人の声がした。「30年もここに通いつづけているけれど、こんな美しい霧峰は、はじめてだわ。」