ぼた雪を見ながら

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©William Ash

月曜日は雪だった。5センチぐらいしか積もらなかったが、午前中から午後に向けて、ぼた雪が降りつづけた。ゆっくりと舞い降りるような雪を見ながら過ごす雪の日。雪の白さが染入るような静けさは、なんとも美しい。

今年の冬は、本当に楽な冬だった。まともな雪嵐は1回きり。気温も高くて、薪がまだたくさん残っている。地球温暖化の影響だと思うと深刻になるが、2年続いて大雪の冬だったので、とてもいい休憩になった。雪も水曜日には、溶けてしまった。

Birefringence 〜 複屈折

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©William Ash

大理石の結晶のようなものは、二つの屈折率をもっているために、光が物質を通過するスピードが振動の角度によってちがう。これを複屈折という。

もし偏光がこの大理石のような物質を通過したら、ちょっと変わったことがおこる。物質によって、光が二つの垂直振動光線に分けられる。光線が二つの方向をもつことになり、物質を透過するときに2種類のスピードで通過する。もし出て行く光が2番目の偏光を通過したら、ふたつの光線が結合して、光線のスピードの違いから、色や明るさに変化が生まれる。左は、うすい大理石の単純な暗視野像だが、右はこうして生まれた同じ大理石の偏光画像だ。

マジック・オブ・ライト

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©Willaim Ash

人間がどのように光を経験するかといえば、簡単なことで、「光を対象に当てて、見えたものを見る」ということになる。光を当てる場所を変えても、影になる場所が変わるだけで、見ているものの固有の姿は変わらないと思う。

でも顕微鏡を使うと、ちょっとちがう。顕微鏡のすばらしいところは、微小なものまで見えて、よく制御された光の照明によって、光の複雑な性質を見せてくれることだ。

ここにトルマリンクリスタル(tourmaline crystal)を顕微鏡でみた画像を載せてみた。三種類の光に当てることによって、トルマリンクリスタルがちがって見える。

まず上の画像は、明視野照明法といわれるテクニックで撮った。一般に顕微鏡でよく撮られる拡大画像だ。これだとサンプルに当たっている光が、サンプルそのものによっては変化しなければ、光の白色の領域まで見える。でもサンプルによって光が散乱したり、吸収されたり、位相がシフトしたりして、光が変わってしまい密度が荒くなり、結局、見えるイメージも変わってしまう。

では、光を横から当てたら、このトルマリンクリスタルはどのように見えるだろうか‥

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©William Ash

これは、暗視野照明法といわれ、横から照射するテクニックを使った画像。このテクニックを使うと、サンプルによって光が変質されない部分は、暗い部分を作る。

このクリスタルは、望遠鏡で見なければ、炭のようにただ黒い。それなのに、上のふたつの望遠鏡による画像だと黒く見えない。顕微鏡とちがって、人間の通常のビジョンだと、光がしっかりと制御されていないので、こうした光の特性を見ることはない。

最後は偏光を使った画像。光にはま偏光とよばれる特性があり、音波のように振動するだけでなく、波形が上下、左右に動いて、分布が一様でない。直接偏光は、光が特定の方向に振動する。第二の偏光を、第一の偏光に対して90度傾けると、第二の偏光が最初の偏光をブロックしてしまうが、サンプルは偏光の影響をうけることになる。

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©William Ash

この画像は同じ水晶のもので、二つの偏光の間に置かれたもの。クリスタルとクリスタルの損傷部分(玉虫色の部分)によって偏光が変わり、第二の偏光を光が通過してこういう画像となった。画像の密度が高くなっただけでなく、色まで変わった。

上の画像のちがいは、ただ光を変えたことによって生まれたにすぎない。Photoshopなど、使っていない。光は、本当に驚くべきもので、奥深い。

見えるものと見えないもの

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©William Ash

視覚が世界を作る。でも、人間が「目の前の空間にあるものを見ている」と思っている最中に実際におきていることは、「目の網膜に写ったイメージをプロセス中」ということにすぎない。見ている世界とその表層の現実は、心とバイオロジーによる幻想なのだ。

目によって、世界もちがってくる。よく知られているのは、昆虫の「複眼」。ほ乳類の目とちがい、映写された画像を使わないだけでなく、たくさんの目をもつ。クモなど、8個もの目をもっている。

画像の虫は、顏の前面の大きな目のほかに、頭の後ろに透明のドーム型の目を三つもっているように見える。拾った虫だが、なんの虫か知っている人がいたら教えてほしい。なんとなく仮面ライダーを思い出す。

こんなすごい面をした虫たちが、まわりをブンブン飛んでいるこの世というもの。ドローン顔負けの情報を虫は収拾しているかも……なんて考えてしまうし、人間の視覚では拾えない生命体がいて当たり前に思える。それが雲に見えたり、風をおこしたりしているのかも。

冬の光

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©William Ash

夕刻に森の端まで行って沈んでいく太陽の光をみれば、冬のピークがもう過ぎたことがわかる。冬の間、メイン州では仕事に出かけるときも、家にもどるときも、すでに日は沈んで暗いのが当たり前。でも三月になると、空がちがう。日照時間が長くなってきたのがはっきりとわかる。陸の前に、まず空が最初に光に満たされていくのを感じる三月だ。