食べられる庭 ~ Edible Garden 6

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©William Ash

Part5の食べられるクローバーの続きだが、シロツメクサ (Trifolium repens)も、花も葉も食べられる。ただし、葉はかなり苦い。乾燥させた葉をベイキングにつかうと、バニラのような風味をくわえることができるらしいが、まだしたことはない。シロツメクサの花のハーブティーは、とてもおいしい。クローバーの花のお茶の味比べをしたのだが、庭にある他の黄色や赤のクローバーの花よりも、ずっと甘いテーができた。今年は、この花のシロップを作ろうと思う。

ただ傷がつくと、猛毒のシアン化合物を合成することがあるらしいので、ちょっと怖い。新鮮で完全なものを選ばないと‥‥。 続きを読む

うさぎさんの足のクローバー?〜

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©William Ash Trifolium arvense(rabbit foot clover)

「色白は七難隠す」とか、言われる。これが植物の場合は、色白ではなくて、「かわいい名前」だと思う。上の画像の草は背が低く、すぐに茶色になる地味な花をつけている。ほんと、ただの雑草にしか見えない。ところが、Rabbit-foot cloverとか、Hare’s-foot cloverうさぎの足のクローバー)!という英語の俗名をもらっている。一度、この名前が頭にインプットされてからは、もうだめだ。庭で見かけると、子供のようにしゃがんで、ピンクがかったフカフカの花を指先でなぜてあげたくなる。

うさぎさん、うさぎさん‥‥。
いったい、だれから名前をもらったの?

アメリカのサイトをみると、「一般的に、クローバーは食べられる野草/雑草で、タンパク質が豊富だ。」とある。でも、どこの部分がタンパク質が豊富だとは、明記されていない。おそらく、情報のたらい回しなのだろう。若葉や花を、生でサラダにいれることもできるが、消化がよくないので、10分から15分ぐらいの塩ゆでをすすめている。ただ、苦みが食から消えてしまったアメリカ人の間では、クローバーの葉の評判はものすごく悪い。サバイバルフードだとか、食料危機まで待とう!というコメントが多い。

私も、他にも5種類ぐらいのクローバーを庭でみつけたが、若葉をかじって以来、葉には手をつけていない。ただ、生や乾燥させた「花」を他のハーブと混ぜてお茶にしたり、「花や種」を乾燥させて、ミルで軽くひいて小麦粉に少し混ぜて、パンやマフィンを焼いている。味はこれといって変わらないが、食感がかわって楽しい。

クローバーは、食べられる野草として日本ではよく知られているらしい。シロツメグサアカツメグサといったクローバーの若葉を、酢の物、お浸し、天ぷらなどに使って、そのレシピを紹介しているサイトもある。私は、半世紀も生きて、しかも異国で、やっとこの知恵を授かった。クローバーは、花冠をつくるだけのものではなかったのだった。

ところで、上のうさぎさん足のクローバーのラテン名は、Trifolium arvense。日本にもあるようで、その名前は‥‥シャグマハギ。全然、かわいくない。

というわけで今回は、
食べられる庭 ~ Edible Garden 5」となった。

こうした野草を利用する際は、識別が難しいし、毒草もある。専門家のアドバイスを求めることをすすめる。また、シロツメクサの中には、組織に傷がつくと有毒なシアン化物(青酸)を作るものがある。摂取量、摂取方法には、くれぐれも注意が必要だ。

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食べられる庭 ~ Edible Garden 4

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食べられる野草、雑草シリーズ、前回のPart2につづいて、今回も野生のレタス。

ラテン名はLactuca biennis
俗名は、 tall blue lettuce、とか、blue wood lettuce.
北米にみられ、これも2年生で、一年目はタンポポみたいに葉が生えてくるだけだが、翌年に茎がどんどんのびてくる。2メートルを超えてくるものもある。 小花はちょっと青紫がかっていて、かわいらしいが、私の場合、背伸びをしないと見れない。

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同じ野生のレタスだが、前回のレタスにくらべて、薬草として紹介されている場合が多く、食べられると書いてあるサイトは少ない。苦いからのようだ。

私は、茎が30センチにもならない前に、「若葉だけ」をバナナやケールといっしょにスムージーにいれて飲んでいるので気にならない。今年は、地面からタンポポのように生えてきたときの若葉を、サラダや炒め物に使ってみようかと思っている。さて、どうなるか?いずれにしても、前回紹介した野生のレタスのほうが、葉は細いが食用には適しているみたいだ。

野生のレタスにはたくさんの種類があり、識別が難しい。散々調べた結果、私は、Go Botannyというニューイングランドの植物に関するサイトを参照にした。こうした野生の植物を利用する際は、専門家のアドバイスをもとめることをすすめる。

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食べられる庭 ~ Edible Garden 3

イワミツバ野生のレタスに続いて、食べられる雑草&野草シリーズ。

今回は、「野生のすみれ」。花だけでなく、葉も食べられるものがある!

うちの庭に生えているのは、北米でもっともよく見られる、和名はビオラ・ソロリア ‘パピリオナケア’(アメリカスミレサイシン)というすみれで、英名は、Common Blue Violet、学名はViola sororia。青紫だったり、白っぽい花が咲く。もちろんこのかわいい植物も、繁殖力が強いので、芝生が命の社会では雑草とされている。日本でも見られるし、園芸店でも売られている。

このスミレの「花と若葉」は食べられる。このあくの強そうな葉も食べられるとは‥‥。

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©William Ash    アメリカスミレサイシン(Common Blue Violet)

日本でも、花は食用とされているが、葉が食べられると書いてあるサイトは稀のような。アメリカのこの手のサイトでは、あたりまえのように野生のすみれの葉が食用として紹介されている。ほとんどの「野生のすみれ」の葉と花は、食べられるらしいが、食べられないものもある。たとえば、黄色の花をもつ種類の中には、吐き気や下痢を起こすものもあるので、食べない方がいい。すみれは種類もたくさんあるので、識別には、専門家に相談しよう。

さて、数ヶ月、迷いに迷って、ついに庭のビオラ・ソロリア ‘パピリオナケア’を食べてみた感想はというと‥

葉は、
春の初旬から中旬の「若葉」、または秋の「若葉」のみが、おいしい。生の若葉は、あっさりとしたマイルドな味なので、食べてみると驚くかもしれない。生のまま、サラダやスムージー、サンドイッチに混ぜて使っている。軽く炒めたり、ゆがいて、パスタやオムレツなどに入れることもある。葉には、ビタミンアAとCが豊富らしい。他の葉っぱ類といっしょに食べたほうが、食べやすい。夏に向けて成長しはじめると、苦くて固くなり、まずい。カタツムリにゆずってあげよう。

花は、
砂糖漬けだけでなく、たくさんとってジャムにしたり、ハーブのように酢につけたりする人もいるが、面倒なので、自分ではしたことがない。もちろん、生の花をサラダにも入れられる。花には、ビタミンCがあるらしい。

花も葉も、
乾燥させてお茶として飲めるらしいが、これはやったことがない。今年こそはやろうと思っている。花の色がでるお茶が楽しみだ。

薬草としても、チェロキー族に使用されていたとする英文サイト等があるが、自分は薬用としては使っていない。使用して効果があったら、載せようと思う。

花を見ているだけでも、かわいくて、幸せな気分にしてくれるビオラ・ソロリア ‘パピリオナケア’(アメリカスミレサイシン)。花と葉もいただけて、多年草だなんて、すばらしい! 我が家では、もうべビーリーフ待遇を受けている。

注意:葉と花以外は、食べてはいけない。

 

 

晩秋の静けさ Part 2

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この家に落ち着いて、自然から惜しみなく与えられたもののひとつは、それまで年に数回もわらのために刈り取られていた草原を森にもどそうと放っておいたら、野生のブラックベリーが生えて一気に広がったことだろう。おかげで、冷凍庫には春までもつぐらいブラックベリーの実がつまっている。ハチにさされながらも、最後の収穫をしたのは8月の終わりだった。今、ブラックベリーは紅葉し、日々しぼんでいくような草原に、みごとな彩りを添えている。

 

 

 

夏のおわりの嵐

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By William Ash

8月の終わりから9月のはじめにかけて 嵐がくる

小天使ケルビムか それとも

天使のコーラスを待っているのか

沈む太陽の光をうけながら 嵐は

目をみはるようなバロック調の姿に変身する

そして、閃光と雷の

聖なるシグナルをおくりながら通り過ぎていく

 

 

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このサイトは、日英の二カ国語サイトです。内容は同じとは限りませんが、一番下の言語のところを「日本語」から「English」に切り替えますと、当ブログの英語のサイトがご覧になれます。

 

 

食べられる庭 ~ Edible Garden 2

数年前の春先、家のドアの前に、タンポポがはえてきた。ところが、どんどん茎が伸びて、2メートル近くにもなった。つぼみらしきものを、たくさんつけはじめた。いったいどんな花が咲くのだろう? ひまわりよりも背の高い花なんて‥‥毎日、ワクワクして仰ぎ見ていた。

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Lactuca canadensis by William Ash

しかし、散々まったあげく、たくさんのおちょぼ口のような小さな黄色い花が、ほんのちょっとの間、咲いただけだった。がっかりしたのと、頭にきたのが重なって、種をつけはじめると、猛然と引っこ抜いた。が、証拠にもなく、今年も生えてきた。まさかと思いながらも、方向転換を試みている今年は(足下の世界#1参照)、googleしてみた。

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Lactuca canadensis by William Ash

なんと、いつも食べている、似ても似つかない野菜の大元だった‥‥レタス。

植物のラテン名は、Lactuca canadensis, 俗名はTall  LettuceとかCanada Lettuceと呼ばれている2年生の野生のレタスで、最初の年は、まさにタンポポのような顔をして年をこし、翌年に茎をのばして開花する。

市場にでまわっているレタスのほとんどが、こうした野生のレタスから生まれたハイブリッド。もちろん、このレタスも「春先の若い葉と茎(背丈30cmぐらい)」や先端の部分は、生でも煮ても、おいしく食べられるとある。花はタンポポの花のように、フリッターにしてもおしいとか。かなり小さい花なのだが‥‥。

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Lactuca canadensis by William Ash

茎はムリだが、 こわごわと葉を口にしてみれば、そんなに苦くない。生で、平気で食べられる。タンポポの若葉も食べれない自分でも、おいしくいただける。レタスの大元だけあって、元気がでるような緑の味がする。市場のスカスカのレタスが嫌いな自分には、好みの味なので、さっそく若葉はスムージーの食材の定番となった。

科学的根拠があるのかないのかは知らないが、薬草としての効能もあるらしく、全草、とくに茎を切ったらでてくる汁は、過去はもとより、現在でも神経をリラックスさせるサプリメントや、鎮痛、利尿などのために商業用に使用されている。ネイティブアメリカンは、とくにイボとり傷口に使用していたらしい。

今、メイン州の秋の気配のなか、この植物は、たくさんのタンポポのような種をつけている。風にのって種が庭のあちこちに飛んでいき、来年、発芽してくれることをなまけものの私は願っている。これといった虫もつかないこのレタス、とても便利なのだ。

野生のレタスにはたくさんの種類があり、識別が難しい。散々調べた結果、私は、Go Botannyというニューイングランドの植物に関するサイトを参照にした。こうした野生の植物を利用する際は、専門家のアドバイスをもとめることをすすめる。

(サイトの一番下にある言語を日本語から英語にすると、当サイトの英語版がご覧になれます。)

食べられる庭 ~ イワミツバ

毎年、少しずつ芝生を手ではいで、野菜畑を広げて4年目になるが、今年は、大きく方向転換した。

きっかけは、大きな脳を与えられた人類が、ただ食べ物のために必死に種を植えたり、耕したりしてあくせくしなくちゃいけないのか?」と思って、前から気になっていた下の植物の名をインターネットで調べたこと。

庭のバラの下に陣取っていて、毎年春になるとものすごい勢いで広がっていく。なんども引き抜こうとおもったのだが、パセリの匂いがするのでできなかった。

庭のイワミツバ(goutweed) photo by William Ash

庭のイワミツバ(goutweed) photo by William Ash

草の学名は「 Aegopodium podagraria」、英名の一般的なものは「goutweed」。

数年まえにも調べたのだが、そのときは春先で、葉形がちがっていたためにわからなかった。この草の葉は、発芽してきてしばらくは、写真中央の葉のように3枚には分かれていない。向って左の葉のように、両側の小さな葉がくっついて一枚だったり、向って右の葉のように、片側だけはがれて2枚の葉になっているのだ。

この植物は、芝生が命のアメリカ人にはひどく嫌われているが、食用と知っている人には、自然がもたらしてくれたギフトと受け取られる。なぜなら‥‥

とくに中世期ヨーロッパの僧院などで、薬用(リュウマチ、痛風に効く)、食用として栽培された長い歴史をもつ多年草なのだ。驚いたことに日本にもあり、和名では「イワミツバ」と呼ばれているらしい。

若葉とその茎は、生でも煮ても食べられる。ほうれん草やパセリと同じ感じで使える。ビタミンCが豊富らしい。炒めたり、詰め物に入れたり、チーズといっしょに料理してもおいしい。ドイツでは、スープに利用されているとか。有り余るばかりの葉はつんで乾燥させれば、スパイスとしてあとで使える。

私たちは、サンドイッチにいれたり、果物といっしょにスムージーにして飲んでいる。好き嫌いこそあれ、イタリアンパセリよりも、香りがよく、ほうれん草のようにアクが強くない。ものすごく重宝する野菜だと思う。

ただし、猛毒をもつ毒ゼリ、学名「Cicuta virosa」英名「water hemlock」と似ているので、混同しないように注意が必要。まちがって食べて、重度の中毒をおこすケースが時々ある。地元の野草専門家に確認してから、食べることをおすすめする。

イワミツバを機に、この夏は庭の野草を調べまくって、40種以上の食べられる薬草をみつけた。「雑草」として、排他的な気持ちをおこすようにしくまれてきた思考回路が、修正されていくようだった。

新鮮で無農薬の「野菜」は、すでにまわりにたくさんあり、しかも、向こうから風や鳥にのってやってきてくれるのだった。そして今、足下の世界は、見るも楽しいものとなった。わ〜い、お菓子の森じゃないけれど、食べられる庭だ〜。