森は、それぞれのペースで移り変わっていく。画像のように、家の裏の森でも場所それぞれに微小気候(microclimate)という固有の気候環境があり、移り変わっていくスケジュールもそれによってちがう。最後に葉を落とすのはブナと柏だが、ブナの場合は、春になって芽吹く頃まで葉をつけている。
晩秋の森は、美しい。樹々が葉を、深い琥珀色に輝かせながら大地にもどして眠りについていく。樹々から太陽への深い感謝が感じられる。
秋の庭は、刻々と色を変えていく。同じ庭でありながら、自然とともに移ろっていく。目まぐるしい変化をみせて、冬の眠りにつく。
でもこれは、広葉樹だけのことではないらしく、ずっと前にある植物の本で読んだことだが、トマトなどは種のときから枯れていくまでに、すべての色を経験していくのだそうだ。観察力に乏しい自分の目には緑にしか見えないのに、実は外見の形はもとより、色までもどんどん変化させまくって、一生を終えていくらしい。
あっぱれかな、トマトさん。
遍路道を三周して学んだ大切なことのひとつに、「すべては絶え間なく変化していて、人間も自分も、同じように変化し続けている」ということがある。それが本当の姿なのだと、ただ道を歩いていただけなのに、子どものように感じた。実は、みんな、トマトだった。すべては変化し続ける。前と同じような色に見えても、実はちがう。英語でいえば、Life goes on! となり、米国でのトヨタの宣伝文句を使わせてもらえば、Moving forward! というところだろうか。