昨日は、ついに雪が本格的に降った。たった5センチぐらいだったが、光は灰色で、磨かれたステンレスのよう。雪はまわりの音を吸い込んで静か。雪遊びを楽しむ子どもの笑い声だけが、どこからか聞こえてくる。
野原にいって写真を撮ってみれば、ものすごく奥行きのある場所なのに、画像ではきれいに描かれた縦線の集まりに見える。
目覚めてみれば、窓の外は白。初雪となった。みぞれ程度で終ったけれど、これまで暖かな秋を安穏とすごしてきた身にとっては、いきなりきただけに、つらい冬の洗礼だ。ブラックベリーの枝はしなだれて、8月のあの元気な姿はどこへやら。
秋の庭は、刻々と色を変えていく。同じ庭でありながら、自然とともに移ろっていく。目まぐるしい変化をみせて、冬の眠りにつく。
でもこれは、広葉樹だけのことではないらしく、ずっと前にある植物の本で読んだことだが、トマトなどは種のときから枯れていくまでに、すべての色を経験していくのだそうだ。観察力に乏しい自分の目には緑にしか見えないのに、実は外見の形はもとより、色までもどんどん変化させまくって、一生を終えていくらしい。
あっぱれかな、トマトさん。
遍路道を三周して学んだ大切なことのひとつに、「すべては絶え間なく変化していて、人間も自分も、同じように変化し続けている」ということがある。それが本当の姿なのだと、ただ道を歩いていただけなのに、子どものように感じた。実は、みんな、トマトだった。すべては変化し続ける。前と同じような色に見えても、実はちがう。英語でいえば、Life goes on! となり、米国でのトヨタの宣伝文句を使わせてもらえば、Moving forward! というところだろうか。