納屋 ~ マナドノック地方より

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©William Ash

家畜の小屋や納屋は、ニューイングランドにはなくてはならない建物で、アンセル・アダムズがニューハンプシャー州で唯一撮った写真というか、唯一、写真集に載せたと写真も、納屋の写真だったように思う。

ニューイングランドには、今でも馬やポニーを普通のペットのように飼っている人たちが結構いる。森を歩けば、ゆるやかな馬の足音に続いて、乗馬服でばっちりと決め、背筋を美しいほどピンとのばした男女が木立のなかから現れて、「ハ〜イ!」と高い馬の背からこちらを見下ろように挨拶をしてくる。ダウンタウンアビーや、ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」じゃないが、まさにイギリスBBC放送のクラッシックシリーズのドラマの風景さながらで、唖然とさせられる。

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消えたマリオネット~マナドノック地方より

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©William Ash

ニューハンプシャー州マナドノック地方にあるピーターバローの町には、小さいながらも、すばらしいマリオネット(天井から糸をつかって操る操り人形)の劇場があった。新聞社を経営していたTed Leachさんが退職後に始めた劇場で、異色なことに、クラッシックオペラを人形によって上映していた。大人はもとより、子供もオペラを楽しめるシアターとして、町はもとより、世界もまわって上映し好評を博していた。

写真は、楽屋裏で撮ったプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」のミミ役の人形だ。無表情な人形にすぎないのに、すばらしい音響効果と人形のひとつひとつの巧みで繊細な動きに、こっちの心が揺さぶられる。子供相手の操り人形だと思ったら、おおまちがい。「ラ・ボエーム」を観て、最後のミミの死に涙してしまった‥‥。ただ残念なことに、劇場が入っていた築155年のレンガ作りの教会が火事にみまわれてしまい、今はもうない。

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森の注意書き~ マナドノック地方より

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©William Ash

マナドック山頂へのトレイルに、怪しげなことを書いた板がはってあった。

「この森は、100年前と全く変わることなく暗く孤独な道です。」

「懐中電灯をもって歩きましょう」ということか、「自然を守り続けましょう」ということか。それとも、ここの手つかずの自然を讃えているのだろうか。

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チェスターさん ~マナドノック地方より

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©William Ash

ニューハンプシャー州マナドノック地方の中でも、ダブリンは、ダブリン湖とおしゃれな家が並ぶ美しい町のひとつだ。ここでアンティークカーの修理(フォード車のモデルA)で広く知られているチェスターさんにお会いする機会があった。ニューイングランドに住む人の典型ともいえる現実を直視する独立心旺盛な人で、地元の消防団のチーフまでしていた。この人なら、燃え盛る炎のなかでも、助けてくれることまちがいなし‥と思える人だった。

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マナドノック山 ~マナドノック地方より

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©William Ash

世界でもっとも登山客が多い山は、日本の富士山。その次の山はどこでしょうか?

実は、日本ではほとんど知られていないけれど、ニューハンプシャー州の南にある「マナドノック山」(Mt. Monadnock)が、2位につけることが多い。もちろん、北アメリカで最も登山客の多い山のひとつに頻繁に選ばれている。

標高は 965mしかないが、まわりに高い山がないので、多くの人を引きつけるのかもしれない。それに、ともかく頂からの眺めが素晴らしい! 遠くの地平線まで延々となだらかに続く美しい森を見たとき、逆に日本が山国であることを実感した。

山のまわりの地域は、山からとってマナドノック地方と呼ばれている。ここに住んだ経験があるが、森のなかに市町村があり、みんな文明的な普通の生活をしてる。私の地味で不便という田舎ぐらしに対するイメージを一新してくれたのも、このマナドノック地方だった。

 

日本の風景 ~ 遍路の今と昔

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©William Ash

四国遍路道は、88ヶ寺だけをめぐるならばおよそ1200キロある。整備された道や速乾の服、靴、レインギア、テントに寝袋といった近代的な装備のおかげで、速い人で40日未満、平均して50日ぐらいでまわれる。「歩き、祈る」という基本的なことは同じでも、100年ぐらい前は、100日ぐらいかかったそうだ。

下の写真は、1914年に出版された本、Nippon’s Lotus Ponds; Pen Pictures of Real Japan ( Matthias Klein著) に載っていた20世紀初頭の僧侶の遍路姿で、わらじをはき、ござや弘法大師の像を背負っている。さぞかし、たいへんなことだっただろう。shikoku_pilgrims_1914

30代のアメリカ人と日本人の夫婦遍路が、四国八十八ヶ所遍路道を奥の院や番外といっしょに3周した思い出をまとめた75日間の聖地巡礼日記
「空海の人びと」
電子書籍ソフトカバー本で発売中。

四国遍路道 ~霧の中の空海

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©William Ash

11番の藤井寺から12番の焼山寺までの山道は、遍路道随一の難所といわれている。私たちが歩いた日は、山全体が、霧につつまれたような日だった。

目の前にみえる細い道をひたすら歩き続けていると、階段があらわれ、その先には修行僧の姿をした空海の銅像が立っていた。浄蓮庵(一本杉庵)で、藤井寺から上り下りを8.8キロした標高745メートルのところにある。四国には、88ヶ所以外にも、弘法大師ゆかりのお寺や場所が数多くあるが、霧の朝、山奥のこの庵に着いて、その幽玄さに息をのんだ遍路は数知れないだろう。

四国遍路道を歩いて3周した30代夫婦の聖地巡礼日記
「空海の人びと」
電子書籍ソフトカバー本で発売中。