©︎William Ash
ハーシュホーン美術館( Hirshhorn Museum)では、今、ローリー・アンダーソン(Laurie Anderson)の個展が行われている。
これが、奇抜でないのに、ど迫力。
彼女の精錬な鬼才が生んだ作品が、部屋から部屋へと続いている。
個展といえば、作品が淡々と並べられているのが普通だが、この個展はそんなつまらないものではない。
アンダーソンが生んださまざまなジャンルの作品を、彼女自身が、この美術館用に再構築して作り直している。だから、壁や床などスペース全体が、生き生きとしたパワー溢れる空間となっている。
アンダーソンは、過去50年の間、アメリカで最もクリエイティブな芸術家の一人と言われている。私は知らなかったのだが、ファンになってしまった。
芸術家というものは、一度成功すると、メディアやキュレーターの枠にはめられ、そこから出れこれなくなるものらしい。
ところが、アンダーソンはそんなものに負けていない。面白いと思ったら、どんどん壁を取っ払って挑戦している。それでいて、Yutubeで話す姿は静かで知的。
彼女のインスピレーションが、音楽、照明、絵画、詩など、自由自在に表現、展開されていくのを見ると、ある種の解放感に心が満たされる。こちらの脳も刺激を受けるようで、個展を見終わった時には、「一体、何を見たんだろうか?」と嬉しい疑問が残る。
ローリー・アンダーソン展は、7月まで
彼女は、1986年に日本で講演を行ったらしい。私も東京にいたというのに、この人の貴重なコンサートを見逃してしまった。最も、あの頃の私なら、彼女の魅力は分からなかっただろう。
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