アメリカ国内の引越 ~ Part 1 の余談になるが、引越の前日に、メイン州に雪が降ってしまった。借りた家には、入り口から家まで75mぐらいの私道が続いているので、
「雪が積もっていたら、トラックが入らない、、、どうする?」
メイン州に向かいながら不安になった。ところが、実際に家についてみると、しっかりと除雪がしてある!
感謝感激で、すぐに大家さんにお礼の電話をすれば、
「いや、知らないよ。」
しばらくすると、謎の50ドルの請求書がポストに入っていた。あわてて請求書にあったMr. T に電話をすると、
「前に住んでいた人から、引越したという連絡は受けていなかったので、いつものとおり除雪をしただけです。あんたたちが今住んでいるのだから、払ってください」
まあ、他の人を探すのも面倒だし、今後もこの人にお願いしようということになって、支払うことにした。
果たして、前の居住者は、
本当に除雪の解約をしなかったのだろうか?
1年半年後、私たちがこの家を引越すことになった。それで、Mr. T の奥さんに除雪の解約を告げておいた。
ところが、新しい家に引越したあと、また請求書が転送されてきた。私たちが引越した後に、数回も、あの家を除雪している。しかも、あの家には他の人がすでに住んでいるのにだ。すぐに電話をした。
「すでに解約をして、引越しているんですけど」
「そんなことは聞いていません」
奥さんは引き下がらない。やっぱりな~と思って、
「こちらには、X月X日に解約の電話を入れたという記録があります」
きっぱりと言うと、彼女は大きなため息をついて、
「そうですか」
やっとあきらめた。
メイン州では、冬の除雪作業が大事な副収入になっている人たちがいる。なんたって、雪嵐でも真夜中でも、がんがんにトラックを走らせて除雪しまくる。
Mr. T も、本業は農業。一度、彼の農場の横にある小さなお店にいったとき、3,4人の子供たちが彼のまわりにいて、「生まれた子豚に、ソックスを編んであげるわ。パパ、小屋は十分に暖かいかしら?」と、かわいい会話をしていた。
除雪の料金だが、決して安いものではない。
10 cm 以上の雪が降ったときは、頼まなくても来てくれる。わが家は、75 m も私道があったので、1回で50ドルの除雪料金をとられた。5分足らずの作業で、50ドル。
しかも、大雪の場合はすぐにまた雪が積もるので、数時間後にまた来て除雪をし、30ドルがその度に加算された。
結局、雪のたびに除雪料金が発生して、一冬あたり、最低でも800ドルは支払った。
こんな顧客が4,5人いるだけでも、いい副収入になるから、顧客を失いたくない気持ちはわかる。でも、こちらとしては、しっかり記録をとっておかないといけないなと、痛感。
ニューハンプシャー州の知人の家の私道は、もっと長くて150 m ぐらいあり、1回の除雪料金は150ドル。さらにこれに、私たちと同じような追加料金が加算されたらしい。
この除雪作業だが、ドライブウェイような私道ではなく、公道を除雪する人たちもいて、彼らは町役場に雇われている。人の家の入り口をよけずに、わざとたっぷりと雪を積んでいくような人たちもいる。
この人たちとの知恵比べといえば聞こえがいいが、数年にわたる戦いの話は、いずれまた……。