真夜中をすぎるとすぐに、大きなトラックが入ってきた。後部ドアが開くと、中にはぎっしりと冷凍されたマグロが入っていた。明朝のセリに出されるのだろう。男たちが、マグロをトラックから引きづり落とすように、降しはじめた。マグロは、大きなアイスキューブのように、床で音をたてて跳ねた。
私はこの様子を、海とトラックの間にある埠頭に立って見ていた。マグロを降ろし終えたのか、ドアを勢いよく閉めると、男がひとりトラックに乗り込んだ。トラックはゆっくりと前進して、その場を去るかと思われた。
ところが‥‥
突然、猛スピードでこっちにバックをしてきた。そして、いきなり急ブレーキを踏むと、大砲を打ったかのような爆音が響いた。運転席のドアが開き、男が降りてきた。後部のドアを開けると、ドアのまわりにはマグロが散乱していた。待ってましたとばかりに、他の男たちがまた、マグロをトラックから降ろし始めた。
どうやら、ブレーキの衝撃を使って、前方にあるマグロをドア近くへ移動させたようだった。あの爆音は、マグロが雪崩れるようにして、後部ドアに激突した音にちがいない。
正直、自分はこの時、なぜトラックがあんな風にバックをしたのか、あの爆音は何だったのかなんて、考える余裕はなかった。ただ、トラックにひかれるのと、東京湾に飛び込むのとでは、どっちがましか?を考えていた。
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