凍りついた森や湖を見ると
氷の国の女王が ワルだなんて思えない。
どこまでも聡明にちがいない。
鉄のような意志で透明度を保って
光を骨の真髄まで受け入れることができる女王は
まわりのものを包み込むと
まるでどこかの世界に連れ去るように輝きだす。
何かにつけて「寒~い」と悲鳴をあげる子供たちに
目を疑うほどの荘厳な世界を教えてくれる。
しかもその世界は 聞こえない音楽でいっぱいだ。
そんな徹頭徹尾な美しさに
厳しさと冷酷さしか見ないおとぎ話に飽き飽きしているなら
やはり自分の足で氷の女王を訪ねることをお勧めする。
もし数年に一度あるかないかの謁見のチャンスに恵まれたら
恐れずにゆっくりと前に進むがいい。
転がったら容易には起き上がれないほど重装備した訪問客に向かって、
彼女は まずは笑って問うだろう。
「あなたは、新種のペンギン……ですか?」
Pleasant Pond, ME.