メイン州の詩 ー 晩秋のカントリーライフ

 

マグカップをにぎって 朝の庭を歩く

足下の土は 日に日に固くなっていき

バードフィーダーは アメリカコガラに占領され

その下では ドバトがのんびりと 落ちた種を拾うように食べ

シマリスが ほほをいっぱいにしながらも

まだ大急ぎでえさをつめこんでいる

しかし まだ やつの姿はない

今のうちに あの低木を切ってしまおうか?

最初はやせていて 狩りもへたくそ

厳寒の中 バードフィーダーの下に当然のように座っていた

それがこの数年 晩秋にひょっこりとどこからかもどってきて

あの暗い低木の下に潜むことを覚えた

地面のえさに気を取られて

ふらふらと迷い込んできたものに飛びかかり

庭のどこかへいって ひとりでゆっくりと食するようになった

あー いやだ いやだ

ただでさえ寒い冬 わが庭でそんな血が凍るような光景は見たくない

今 低木を切ってしまえば きっとやつもいなくなる

しかし やつは‥‥おそらく‥‥野ネズミもとってくれている‥‥

屋根裏にはいってきて

煙突のまわりに 小さなふかふかのベットをつくって

ぬくぬくとする野ネズミたち

やつなら ねずみ取りにもかからない頭のいいネズミもとれるはず

あー こまった こまった あの黒猫め!

コーヒー片手に散歩を楽しもうと思ったのに

私の頭は 今朝もまた木の下をにらんで 堂々巡りをはじめた

by 大坪奈保美 ©Naomi Otsubo 2013

 

(注)ひとつ前のブログもご覧ください